県は本当に知らなかったの?(補助金目的外使用) 3-1

◇県は本当に町の違法に気づかなかったのか?


3回に分けて解説したいと思います。今回は、福岡県庁は久山町の「目的外使用」の違法を知らなかったのかという疑問について。


現地建物をみていなくても、国交省への申請書類上の久山町のモデル住宅らしからぬ「奇妙な建物」に住宅行政のプロぞろいのはずの福岡県庁は、本当に2014年の会計検査院の指摘による発覚まで違法だと気づかなかったのか。そこまで怠慢だったのか…最初から気づいていたとは思えない。最初から気づいていたら、完全に補助金等適正化法違反の共謀者として罰を受けなければならない。それは考えにくいだろう。しかし実は、2014年前に途中で気がつき、目をつむっていたということは考えられないか?


県の立場は、単に書類の国交省への橋渡し役。補助金が町に入金後は法的責任は問われない。ゆえに、年度末の久山町の「モデル住宅」成果報告の際、国交省への報告フォーマットを作成する際、県が「これはおかしいぞ」と思うのが普通では。「3-3」でも解説するが、①奇妙な外観、②毎回ワンパターンで漠然とした「来場者」のモデル住宅の感想。③年々エスカレートする、尋常出ない数の来場者数。報告書をつくっていれば、余程「住宅行政素人」でなければ気がつくのでは。


県は2013年度(平成25年度)から県独自で久山の子育て支援センター事業「地域子育て支援拠点事業」に県独自の補助金を付けている。同じ建物で「モデル住宅」と「子育て支援施設」という、2つの顔をもっていたことになります。これは歪(いびつ)な状態です。


こうした謎が解明されていない。久山町・国交省・福岡県、この3者の怠慢による「補助金目的外使用」という不祥事に、なぜ町民の血税1984万円が「返還金」として使われなければならなかったのか。検証が必要でしょう。



○まず、久山町の補助金目的外使用について、簡単におさらいします。


2010年(平成21年)3月、町は国交省の地元産木材を使ったモデル住宅(▷地域住宅モデル普及推進事業)の補助金を福岡県の住宅計画課を通じて申請しました。県は申請書の取りまとめ役です。同年4月5日、国交省から町の口座に補助金2217万円が交付されましたが、久山町はその補助金をわずか1ヶ月後、5月に「地元産の木で作った子育て支援センター」として転用しました。それが、2014年(平成26年)、会計検査院より用途外に補助金を使っている=目的外使用と指摘を受けました。同年12月議会で、1984万円国にお金を返還する項目が補正予算で計上。議会が補正予算を承認したことから、事実上議会は、補助の89%にあたる1984万円の補助金を国交省に返還することを承認した形となりました。この議会最終日の12/12には急きょ追加議案として、当時の久芳町長・只松副町長のそれぞれ1ヶ月のみの減給措置(▷2人合計わずか21万円弱)が提案され、議会は承認しました。


これらの流れの中で、まず、福岡県が本当に2014年まで、町の違法に気づかなかったのかということに焦点をあててみたいと思います。

「モデル住宅」の決裁関係は11月に少し書きました。今回は、久山町が建物を転用した「子育て支援センター」の事業について述べます。


木子里1 木子里2 ▷子育て支援センター(木子里)のパンフ



地域子育て支援拠点事業について

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▷平成27年(2015年)4月21日、県が佐伯に開示した文書。平成22年度~24年度までは町からの県へのこの事業への「補助金」申請はなかったが、平成25年度、26年度、町は県へ「拠点事業」の補助金を申請、県は交付している。


133▷県補助金申請への町の添付資料


まず、「地域子育て支援拠点事業」=子育て支援センターというわけではなく、この中には、ファミリーサポートセンター事業等、「木子里」以外の事業も含まれ、それに対し、補助金が交付されているようだ。しかし、この事業の中核となっているのはやはり、子育て支援センター「木子里」。木子里がなければ久山町のこの事業は成り立たなかったかも知れません。旧上海中医跡の老朽化した従来の施設では、十分な補助が受けられなかった可能性があります。町としては、何としても新しい子育て支援センターが必要だった。それも出来たら、地元産の木材で建てた木の香りがする施設がいい、しかし、町は当時、情報収集不足で、木で造った社会教育施設への補助制度を探しきれなかった(実際は農水省・林野庁に補助が活用できる制度があったが)。そこで、国交省の木造モデル住宅事業に目を付け、手を出してしまった。まともにモデル住宅やるつもりもないから、わずか1ヶ月で木子里に転用するに至った。


地域子育て支援拠点事業について、町は補助金を所管である厚生労働省の他に、内閣府、福岡県からも得ている。違法に建物を転用していた期間、平成22年5月から平成26年12月(▷議会に目的外使用の報告があるまで)の間だけでも合計2145万円。現在もずっと補助は続いている。


下記の通り、県はまず平成25年度に371万円。そして26年度は247万円交付している。


5▷平成25年度(2013年)県へ補助金申請し、県が町に補助金交付。違法転用している期間である。


12▷平成26年度(2014年)県が町に補助金交付決定した通知書。日付は11月6日となっているが、これは11/7会計検査院の情報解禁日(▷会計検査委員長が首相に決算報告書を手交する日)の前日である…偶然だろうか?日にちがずれていて、久山町の目的外使用を県が「公に」知っていたらどうなっていたろうか。


(3-2へ続く)



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